- 以前実施した説明会にはどんな参加団体がいたのか?一般市民も参加していたのか?自治体としてどこまで展開するのかの参考にしたい。
- 直接関わっていないので正確には把握はできていませんが、住民の方々を含めて行ったようです。今回は、実験場所近隣で事業を行っている方々や、漁業・農業関係者の方にむけても、丁寧に説明したいと思っています。
- 説明にあった下記に行われた実験の場所である群馬県や新潟県での成果や結果を知ることはできるか?
- 気象庁気象研究所が行った実験については、報告書(村上正隆・藤部文昭・石原正仁 編集、「人工降雨・降雪研究の最前線」、気象研究ノート第231号、日本気象学会)や論文として公開されている。概略は、一冬ドライアイスを撒き続けたら、20%または30%(瞬間)の降水の増加が見込まれたという結果だった。今回の実験で行う1回や2回のドライアイスの散布では、20%や30%の影響はでない。
- 実験周知の方法として、県や地方自治体の広報誌などで実験内容などをお知らせするようなことをご検討いただけるといいのではないか。
- 広報の方法(プロセス)として、次のように考えています。
①利害関係者にまず説明をする
計画の詳細を練って国立研究開発法人科学技術振興機構(ムーンショット目標8の推進団体)の承認を得ていく
②報道機関への周知を含めて、広く広報する
広げていくタイミングで、地方自治体での広報誌等への記載もご検討していただく。行政機関への説明した上で、報道機関への説明等に展開していく。 - このような実験をするにあたって、どこかの許可が必要なのか?
- まず、本プロジェクトは気象学を専門としている研究者を含んでいることをお伝えします。
日本ではこのような実験を許認可する法律は制定されていません。このこともあり、過去の同様な実験においても地域の方々への説明を十分にして実施してます。このような過去の事例や今回の説明会などを踏まえて、私たちは国立研究開発法人科学技術振興機構(ムーンショット目標8の推進団体)が行う実験審査会に計画書を提出し、実験を実施する可否について審査をしていただくことになっています。また、富山県や県内市町村の方々にも予備的に説明をしています。さらに、この実験に関して専門的な知見を有する研究者などの意見等も踏まえて、実験を行う予定です。 - 民間で誰でも機器を集めて実施することもできるのか?
- 日本では現時点では法律などで規制を行うということはなされてません。そのため、民間でも実施が可能です。実際に試験的に実施している会社があり、その際は簡便な説明会を行なっているようです。
また、直接の比較は難しいですが、アメリカでは太陽光を遮る実験を富裕層から資金を得て実施しようとして、裁判所によって止められたという事例があります。
今回の実験は危険性をともなうものではありませんが、できる限り丁寧な説明をして皆さまの理解を得ることが重要だと考えています。また、気象台からも専門的な意見をもらっていて、富山県の防災課、自衛隊、海上保安庁への連絡も適宜おこなっています。 - 危険性はないとのことですが、万が一に何か起きるデメリットやリスクというのはあるか?
- プロジェクト内で事前に考えうる範囲内で想定して実験を計画していて、現時点で特段心配なくてはならないデメリットやリスクはありません。また、富山地方気象台とは、第三者的・専門的な立場としてどんな危険性があるかについて意見交換を行い、すぐ分かるような危険性はないだろうと意見をいただきました。さらに、何かしらのリスクや問題が生じた場合は、速やかにお知らせ頂けるような関係を構築してあります。
ただ、デメリットが無いことを科学的に証明することは極めて難しく、過去の事例を参考にすることになります。例えば、約15年前に気象研究所が行なった、今回と類似のシーディングにより降雨を増やそうとした実験では、一冬やり続けた場合でも、降雨量が10~20%程度増えるという報告があります。このように、人為的な作業(介入)により、気候を劇的に変えることはできないと考えられています。
また、過去の実験では、降雨量の変化は生態系へ影響しないものとして実験が行われていました。
今回の実験では、実験を実施することを目指したアクセルを踏む人だけではなく、環境アセスメントなどの観点でブレーキをかける方にも関与していただいています。私たちはこの実験を進めたいというモチベーションがあるのは事実ですが、ブレーキをかける方の意見も非常に重要であり、これらを含めて実験の実施を審議する会が設けられています。 - 実験自体が大気中という閉鎖空間ではないがゆえに、他への影響があるのかないのか?部分ではなく、外側の部分への影響はあるのか?
- 今回は実施する場所以外には、統計的に影響が現れないと考えています。過去の実験結果に比べて、シーディングをする範囲や回数が限られているので、より広範囲に広がるものではないと考えています。ただ、2050年に達成する目標としている「集中豪雨を緩和すること」や「線上降水帯を弱める」ということまで進めると、もしかしたら特定地域の集中豪雨を弱める一方、風下側での雨が増るかもしれないという懸念点は出てくるかもしれない。
実験規模がより大きくなった時にどういった影響が起こりうるのかというのは、これからの研究課題でもあるし、今回の質問は大切な視点やご指摘であり、今後の研究開発に生かしていきたいと思っています。
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